プレミアリーグ

イングランドのサッカー1部リーグ

プレミアリーグ: Premier League、正式名称:The Football Association Premier League Limited)は、イングランドのプロサッカー1部リーグ。20チームによって争われ、下位3クラブはEFLチャンピオンシップに降格する。イングリッシュ・プレミアリーグ(English Premier League、EPL[注釈 1]としても知られている。

プレミアリーグ
Premier League
加盟国イングランドの旗 イングランド
大陸連盟UEFA
創立1992年2月20日
参加クラブ20
リーグレベル第1部
下位リーグEFLチャンピオンシップ
国内大会FAカップ
FAコミュニティ・シールド
リーグカップカラバオ・カップ
国際大会UEFAチャンピオンズリーグ
UEFAヨーロッパリーグ
UEFAヨーロッパカンファレンスリーグ
最新優勝クラブマンチェスター・シティ (7回目) (2022-23)
最多優勝クラブマンチェスター・ユナイテッド (13回)
最多出場選手ギャレス・バリー (653試合)
最多得点選手アラン・シアラー (260得点)
テレビ局日本の旗 SPOTV NOWABEMA
公式サイトpremierleague.com
2023-24
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イングランドではサッカーの国内リーグは1888年に開始されており、プレミアリーグが創設されたのは1992年である[1]

スペインラ・リーガイタリアセリエAドイツブンデスリーガフランスリーグ・アンとともに『ヨーロッパ5大リーグ』の一つである[1]

概要

世界中で、のべ12億人以上に視聴されている世界で最も人気が高いリーグであり[2]、世界最高のリーグとみなされている。サッカー競技のみならず、全世界のスポーツリーグの中で最もテレビ中継の視聴者が多く、人気・実力は共に高い。2000年以降、欧州主要リーグの中でも圧倒的な売上高を誇り、2009-10シーズンの売上高は24億7900万ユーロであり、2位のブンデスリーガを大きく引き離している[3]

テレビ放映権も巨額であり2016年から2019年の3年間で95億ユーロ(約1.3兆円)の契約を結んでいる。放映権料の半分は各クラブに均等に分配され、25%は放映試合数、残り25%は順位に応じて分配される[4]。 また海外放送分については均等に分配される。2014-15シーズンには1位チェルシーには1億2400万ユーロ(約153億円)、最下位のQPRでさえも7900万ユーロ(約105億円)の収益を手にした[5]。プレミアリーグは人気、経済規模が共に年々成長しており、2022-23シーズンには1位のマンチェスター・シティには1億8400万ユーロ (約287億円)、 最下位のサウサンプトンFCでさえも1億1400万ユーロ(約177億円)を手にしている[6]

プレミアリーグ創設から、優勝経験があるのは、アーセナルブラックバーン・ローヴァーズチェルシーマンチェスター・ユナイテッドマンチェスター・シティレスター・シティリヴァプールの7クラブのみ。2000年代には、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナル、リヴァプールの4クラブが毎年優勝争いを繰り広げていることから「ビッグ4」と呼ばれていたが、2010年代に入ると、それらのチームにトッテナム・ホットスパーマンチェスター・シティを加えた6クラブが「ビッグ6」と呼ばれるようになっている。

2011年5月、1992年のプレミアリーグ創設から数えて12度目の優勝をマンチェスター・ユナイテッドが果たした。この結果、フットボールリーグ時代の7度の優勝と合わせて19回目の優勝となり、イングランドのトップリーグでの最多優勝チームとなった。優勝チームは翌シーズン、袖に刺繍されている獅子のロゴが金色になる(通常は紺色)。

歴史

前史

1980年代、イングランドサッカー界は低迷していた。スタジアムは古く傷んでおり、観客は古びた設備で観戦することを強いられた。サッカー界は、アメリカのNFLのようなエンタテイメント性への脱皮が模索された。また、同時代にはフーリガンを代表する暴力行為も広がりを見せていた。1985年という年はイングランドサッカー界にとって厄年で、5月11日ブラッドフォードシティサッカー場火災で56人が焼死、バーミンガムシティサッカー場崩落で1人死亡、5月29日、UEFAチャンピオンズカップ決勝リヴァプールユヴェントス戦で、サポーターが暴徒化し39人の死者が出る事件が発生[注釈 2]イングランドのクラブはUEFAが主催する大会への出場を禁じられた(無期限、後に5年間。当事者のリヴァプールは7年間に変更される)。これを最後に一旦BBCITVによるサッカー中継が休止された。

プレミアリーグ移行前であったフットボールリーグのディビジョン1(プレミアリーグが新設されるまでの1部リーグ)は収益・観客数などでセリエAリーガ・エスパニョーラに大きく遅れを取っており、優秀なイングランド人選手数人は海外に活躍の場を求め、イタリア・フランス・スペインが欧州3強であった。しかし、1990年を境にこの下降傾向が減速し始めた。1990年イタリアW杯ではイングランド代表がベスト4に進出(準決勝で敗退、3位決定戦で敗れ4位)。UEFA主催大会への出場禁止措置も解かれ、イングランドサッカー界に再興の兆しが見え始めた。

1980年代後半頃から、テレビマネーも重要になっていた。フットボールリーグは1986年に2年で630万ポンドで契約していたが、これがBBCとITVとの間で結ばれたカルテルであることが発覚、また放映権料の分配もリーグの全92チームに均等に行われていたため、特に強豪で人気のあったビッグ5[注釈 3]といわれたチームから不満の声が上がりリーグからの離脱が噂され始めた。1988年1月、FA創立100周年の年、FAはビッグ5の経営者を集め、当時創立予定であった衛星放送BSB(現:Sky Sports)に放送権を移し、BBCとITV間のカルテル打破と放映権料の増収を図らせた。まだ衛星も打ち上げられていない放送局との契約は不安視されたが、92クラブ中91チームが契約の方向でまとまりかけた。このとき従来放映権を握ってきたITVは、ビッグ5に秘密裏に高額な放映権料を提示したが、わずか5チームだけではリーグを構成できないため、ビッグ5は他のクラブを密かに誘いはじめた。1989年4月15日ヒルズボロ・スタジアムでの観客将棋倒し事故で96人が死亡[注釈 4]したことを受けて、当時のマーガレット・サッチャー首相はサッカー通の裁判官・ピーター・テイラーに劣悪な環境のサッカー場の改修を指示。その後立見席が全廃された。

1990年11月、ビッグ5の各経営者がロンドンで秘密裏に夕食会をもち、リーグからの離脱を決定、FAに報告したところ、リーグから猛反発を招き、1991年6月13日高等法院での審判により、FAにリーグの運営権があることが確認された。テレビ放映はITVが入札でSkyに敗れ撤退した。

プレミアリーグの設立

1992年2月20日、フットボールリーグのディビジョン1(1部リーグ)に所属していたクラブ全てが離脱し、FAプレミアリーグを設立。FAプレミアリーグは、テレビ放映権やスポンサーなどの契約を独立して結べるようになった。その後、フットボールリーグとの間で、従来通り3チームずつの昇格・降格を行うことで合意。1992-93シーズン、初めてのFAプレミアリーグが開幕。最初のゴールはシェフィールド・ユナイテッドのブライアン・ディーン(2-1 マンチェスター・ユナイテッド)。その後、1995年にリーグ構成クラブ数を22から20に削減。2006年6月8日、FIFAはヨーロッパ全てのリーグに対し、2007-08シーズン開始前にトップディヴィジョンのクラブ数を18にするよう要求したが、プレミアリーグは削減しない方針を表明している。

2007年2月12日、名称が「FAプレミアリーグ」から「バークレイズ・プレミアリーグ」に変更された。2012-13シーズンからユースリーグのプレミアリザーブリーグプレミアアカデミーリーグが統合し、U-21プレミアリーグU-18プレミアリーグが新設した。FAは2015年6月4日、今後プレミアリーグのスポンサー契約をしない方針を表明。2015-16シーズン終了後にプレミアリーグはバークレイズとの契約を終了し、名称が「プレミアリーグ」に変更された。U-21プレミアリーグは「プレミアリーグ2」に変更し、23歳以下までの出場が可能となった。

スポンサー公式リーグ名
1992–1993なしFAプレミアリーグ(FA Premier League
1993–2001カーリングFAカーリング・プレミアシップ[7]FA Carling Premiership
2001–2004バークレイカードFAバークレイカード・プレミアシップ[7]FA Barclaycard Premiership
2004–2007バークレイズFAバークレイズ・プレミアシップ(FA Barclays Premiership
2007–2016バークレイズ・プレミアリーグ[7][8]Barclays Premier League
2016–なしプレミアリーグ(Premier League

1990年代

マンチェスター・ユナイテッドの支配

リーグ設立1年目の1992-1993シーズンアレックス・ファーガソン率いるマンチェスター・ユナイテッドが18年ぶりの1部リーグ優勝を果たすと、翌年にも優勝して連覇を達成した。以降も、ファーガソンが退任する2012-13シーズンまで常に上位を争い続けることになる。特に、1998-99シーズンには、プレミアリーグ、FAカップ、UEFAチャンピオンズリーグ全てで優勝し、イングランド史上初の3冠を達成した。マンチェスターユナイテッドの他には、アーセナル1997-1998シーズンに、後にリーグの殿堂入りを果たすことになるアラン・シアラーを擁したブラックバーン・ローヴァーズ1994-1995シーズンに、それぞれ1度ずつ優勝を分け合っている。

2000年代

アーセナルの躍進と無敗優勝

マンチェスター・ユナイテッドの支配に風穴を開けたのが、アーセン・ベンゲル率いるアーセナルである。01-02シーズンにリーグとカップ戦を制してダブルを達成すると、2003-2004シーズン、アンリベルカンプキャンベルらを擁して無敗優勝を達成した。この時のアーセナルは、インヴィンシブルズと呼ばれ、この時に達成した49試合無敗の記録は、未だに破られていない。

チェルシーの台頭

マンチェスター・ユナイテッドとアーセナルの2強時代を終わらせたのは、ロシア人富豪ロマン・アブラモヴィッチに買収されたチェルシーであった。2003年の夏にチェルシーを買収したアブラモヴィッチは、豊富な資金を生かして次々とスターを獲得する。2003-04シーズンこそアーセナルの後塵を拝し2位に終わるも、2004年の夏にはFCポルトチャンピオンズリーグ優勝を成し遂げたジョゼ・モウリーニョを招聘し、結果2004-05シーズンは29勝8分1敗で当時の最多勝ち点記録となる勝ち点95を獲得、2位のアーセナルに12ポイント差をつけて50年ぶりのトップリーグ優勝を果たす。チェルシーは翌シーズンも優勝しリーグ連覇を達成、強豪としての地位を固めていく。06-07シーズンではマンチェスター・ユナイテッドがチェルシーの3連覇を阻み、逆に08-09シーズンまでユナイテッドの3連覇を許すことになるが、チェルシーは新たな監督としてカルロ・アンチェロッティを招聘、09-10シーズンにはリーグ戦で103得点を記録する強力な攻撃陣を擁してユナイテッドを下し、3度目のプレミア優勝を果たした。

2010年代

マンチェスター・シティの勃興

2007年夏、タイ元首相タクシン・チナワットによってマンチェスター・シティは買収されるが、翌年タクシンはオーナー権をアブダビ・ユナイテッド・グループ・フォー・デベロップメント・アンド・インベストメント(ADUG)に売却、同年にロビーニョを獲得するなど、以後はADUGの圧倒的な資金力によって強化が図られることになる。2008-09シーズンこそ10位に終わるものの、ロベルト・マンチーニが途中で就任した2009-10シーズンは5位、2010-11シーズンは3位で初のチャンピオンズリーグ出場と35年ぶりのFAカップ優勝を果たすなど、徐々に地盤を固めていく。そして2011-12シーズン、ユナイテッドと最終節まで縺れる熾烈な優勝争いの末、この年獲得したセルヒオ・アグエロの後半ATの劇的な決勝弾でプレミアリーグ初優勝を果たすことになる。シティは2013-14シーズンも優勝を果たし、シティもまた強豪としてその後のプレミアリーグの覇権を争うことになる。また2016-17シーズンからはペップ・グアルディオラが監督に就任、初年度こそ3位に終わるも、自身の代名詞であるパスサッカーが浸透した2017-18シーズンは勝ち点100、106得点、得失点差+79を記録する圧倒的な成績でプレミア優勝を果たす。翌2018-19シーズンもリヴァプールとの熾烈な優勝争いの末連覇し、シティは2010年代で最多となる4度のリーグ優勝を果たすことになる。2022-23シーズンには1998-99シーズンのマンチェスター・ユナイテッド以来となるプレミアリーグ史上2度目のプレミアリーグ、UEFAチャンピオンズリーグ、FAカップの3つを優勝する3冠の偉業を達成した。

ファーガソン退任とマンチェスター・ユナイテッドの迷走

一方、同じ街のマンチェスター・シティが隆盛を極める一方で、ユナイテッドは不振に喘ぐこととなる。2012-13シーズンこそアーセナルから獲得したロビン・ファン・ペルシの活躍もあり優勝を果たすが、このシーズンをもってファーガソンが勇退、以降リーグではシティの後塵を拝することとなる。ファーガソンの後任にはエヴァートン監督だったデイヴィッド・モイーズを就任させたが、ロングボールとクロスを多用する戦術にはファンやOBからの非難が殺到、ピッチ上でも結果を残せずモイーズは途中解任されることになる。その後はライアン・ギグスを暫定監督に据えるものの、2013-14シーズンは7位で終えることになり、25年ぶりにヨーロッパのカップ戦を逃すことになった。ユナイテッドはルイ・ファン・ハールを招聘し再起を図るが、2014-15シーズンは4位、2015-16シーズンは5位で共に無冠に終わる。チャンピオンズリーグ出場権を逃したことでファンハールは解任され、後任にはモウリーニョが就任した。チェルシーで3度のプレミア優勝を果たしたモウリーニョであったが、ユナイテッドでは2017-2018シーズンの2位が最高であり、成績不振に陥った2018-19シーズンの途中でモウリーニョは解任されてしまう。このようにファーガソン退任後のユナイテッドは監督を長く固定できずいずれも途中解任という結果に終わっており、2010年代途中からリーグ優勝からは遠ざかってしまった。

ミラクル・レスター

2015-16シーズン、前年度王者のチェルシーが一時降格圏に入るなど大不振に陥るなかで序盤から勝ち点を伸ばしたのがレスター・シティであった。この年から就任したクラウディオ・ラニエリの下、4-4-2を基調とする全員守備、FWジェイミー・ヴァーディーを中心とする素早いカウンターを武器に勝ち点を積み上げ、残留が目標だったチームは次第に優勝争いに参加していく。最終的にはトッテナムとの優勝争いを制し、2試合を残して優勝を決めた。ブックメーカーにおけるレスター優勝のオッズは5001倍であり、まさしく奇跡のような偉業を成し遂げたこのシーズンのレスターを、各メディアは「ミラクル・レスター」と呼び賞賛された。

名門リヴァプールの復活、そして30年ぶりの優勝

リヴァプールはその実績の多さから、イングランドのクラブの中でも特に高い位置を占めていたが、プレミアリーグとなった後のリーグ戦では優勝争いに絡むことは少なかった。それでも2015-16シーズン途中、前ドルトムント監督ユルゲン・クロップが就任したことで徐々にリヴァプールは力を取り戻していく。クロップはドイツ仕込みのゲーゲンプレスを導入し、2015-16シーズンは8位だったチームが、16-17シーズン17-18シーズンと2シーズン連続でトップ4入りし、CLにおいては決勝まで勝ち進んだ(決勝でレアル・マドリードに敗れ準優勝)。迎えた18-19シーズンでは序盤から驚異的なペースで勝ち点を得てクリスマスを首位で折り返すものの、マンチェスター・シティの猛追をかわしきれず、結果04-05シーズンのチェルシーを上回る勝ち点97を得ながらも2位に終わってしまう。それでもこのシーズンは2年連続となったCL決勝トッテナムとの同国対決を制し、久しぶりのタイトルを得ることに成功した。そして翌19-20シーズンは開幕から27戦無敗(引き分けもマンチェスター・ユナイテッド戦の1試合のみ)、リーグ戦18連勝など圧倒的な成績を残し、新型コロナウイルスによるリーグ戦中断もものともせず第31節に史上最速で優勝を決めた。リヴァプールにとっては30年ぶりのトップリーグ優勝、プレミアリーグとなってからは初の優勝であった。

2020年代

2020-21シーズン、2021-22シーズン、2022-23シーズンは、マンチェスター・シティが圧倒的な強さでリーグ三連覇を果たした[9]

大会方式

プレミアリーグは、1992年にイングランドのプロサッカーリーグの改編に伴い、フットボールリーグから分離して新設された。20クラブが所属し、ホーム・アンド・アウェー方式による2回総当りで8月から翌年5月にかけて全38試合を戦う。勝ち点はそれぞれ勝利が3、引き分けが1、負けが0となっており、獲得した勝ち点によって順位を決定する。勝ち点が等しい場合は得失点差、それも等しい場合は総得点による。総得点が同じ場合は同順位となるが、優勝クラブ、降格クラブおよびヨーロッパの大会に出場するクラブを決めるために順位をつける必要がある場合は直接対決の結果(直接対決における勝点、それが等しい場合は直接対決におけるアウェーゴール数)により決し、それも等しい場合はプレーオフを行う。

優勝クラブ、2位、3位、4位クラブには、翌シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の本大会への出場資格が与えられる。5位クラブにはFAカップ優勝クラブとともに翌シーズンのUEFAヨーロッパリーグ(EL)の本大会への出場資格が与えられる。FAカップ優勝クラブが5位以内に入った場合は6位クラブにELの出場資格が与えられる。イングランドのUEFAヨーロッパカンファレンスリーグの出場資格はEFLカップ優勝クラブに与えられるが、そのクラブがCLまたはELの出場資格を得た場合、6位または7位クラブに出場資格が与えられる。また、下位3クラブが自動的に2部相当のEFLチャンピオンシップに降格し、チャンピオンシップからは上位2クラブと3〜6位の4クラブを対象としたプレーオフを勝ち抜いた1クラブの計3クラブが昇格する。

出場選手登録

  • トップチームに登録できる選手は25人までで外国人枠はないが、ホームグロウン選手を8名含む必要がある。ホームグロウン選手以外の登録は最大で17名となる。尚、21歳以下の選手は上記登録人数に関係なく登録できる。
  • 外国籍選手の登録制限は無く、ブレグジット前の2020年まではEUおよびEFTA加盟国の国籍を持つ選手は労働許可証取得の必要が無かった。それ以外の国籍の選手は労働許可証取得の必要があるが、取得の条件として過去2年間で国際Aマッチ(親善試合を除く公式戦)の75%以上に出場していること、過去2年間のFIFAランキングの平均順位が70位以上の国の代表選手であることが必要だった(ただし、条件を満たさない場合でも特例として労働許可証が発行されることはあった)。ブレグジット後の2021年からは、EU・EFTA域内の選手も含め労働許可証を得る必要があり[10](ブレグジット前から居住するEU・EFTA域内の選手は別に資格を得られる措置あり)、それを得るための前提としてフットボール・アソシエーションが定めたポイントシステムにおいて必要なポイントを獲得しなければならず、国際Aマッチの出場時間や所属クラブでの出場時間などで基準を満たす必要がある[11]。2023-24シーズンからは、より緩和された基準により資格を得た外国籍選手と各クラブは最大4名(そのクラブに所属するイングランド人選手の出場割合により人数は変わる)契約できるようになった[12]。なお、イギリスイングランドウェールズスコットランド北アイルランド)、およびアイルランド国籍の選手は国内選手扱いとなる。
  • ベンチ入りは9人まで。ただし、交代枠は原則的に5枚となり、脳震盪の選手を入れ替えられる追加交代が1枚加えられる。

リーグの特徴

  • プレミアリーグは、所属する20クラブによって所有される株式会社として運営される。各々のクラブは契約やルールの改定に関する投票権を持つ株主として考えられる。なお、主要なルール変更やリーグに関わる重要な提案を行う場合、それらに対して拒否する権限を保持するフットボール・アソシエーションの承認も必要となる[13]
  • 2003年頃から、プレミアリーグに所属する各クラブが外国人投資家に買収されるようになった。現在ではリヴァプール(アメリカ)、マンチェスター・ユナイテッド(アメリカ)、チェルシー(ロシア)、マンチェスター・シティ(アラブ首長国連邦)といったビッグクラブや、アストン・ヴィラ(アメリカ)、ポーツマス(フランス)、バーミンガム(香港)などといった中堅クラブまでが外国人オーナーの所有するクラブとなっている(ウィンブルドン現象)。2011年10月時点では、リーグ所属の20クラブ中、半数の10クラブで外国人がオーナー職を務めているという現状である[13]
  • 肉弾戦を好む国民性のためか、他リーグと比べるとタックルなどに寛容である。
  • イングランドのリーグだが、英国籍の選手の率は決して高くはない(2013-14シーズン開幕戦の英国籍のスタメン率は34%と過去最低となった)。一時期のアーセナルなどではスタメン全員が外国籍選手だけということもあった。
  • 2013-14シーズンから、ゴール判定システムのホークアイを導入・使用を開始した。

所属クラブ

2023-24シーズンのプレミアリーグのクラブ数は前年同様の20。バーンリーシェフィールド・ユナイテッドルートン・タウンがプレミアリーグに昇格。

チーム創設監督ホームタウンスタジアム収容人数前年度成績
ニューカッスル・ユナイテッド1893年 エディ・ハウニューカッスル
・アポン・タイン
セント・ジェームズ・パーク52,387人4位
マンチェスター・シティ1880年 ジョゼップ・グアルディオラマンチェスターエティハド・スタジアム55,097人1位
マンチェスター・ユナイテッド1878年 エリック・テン・ハフオールド・トラフォード76,100人3位
エヴァートン1878年 ショーン・ダイチリヴァプールグディソン・パーク40,569人17位
リヴァプール1892年 ユルゲン・クロップアンフィールド60,725人5位
バーンリー1882年 ヴァンサン・コンパニバーンリーターフ・ムーア21,944人※(優勝)
ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ1877年 ガリー・オニールウルヴァーハンプトンモリニュー・スタジアム31,700人13位
アストン・ヴィラ1874年 ウナイ・エメリバーミンガムヴィラ・パーク42,785人7位
シェフィールド・ユナイテッド1889年 クリス・ワイルダーシェフィールドブラモール・レーン32,125人※(2位)
アーセナル1886年 ミケル・アルテタロンドンエミレーツ・スタジアム60,432人2位
チェルシー1905年 マウリシオ・ポチェッティーノスタンフォード・ブリッジ41,623人12位
クリスタル・パレス1861年 オリヴァー・グラスナーセルハースト・パーク26,309人11位
トッテナム・ホットスパー1882年 アンジェ・ポステコグルートッテナム・ホットスパースタジアム62,850人8位
ブレントフォード1889年 トーマス・フランクブレントフォード・コミュニティ・スタジアム17,250人9位
ウェストハム・ユナイテッド1895年 デイヴィッド・モイーズロンドン・スタジアム62,500人14位
フラム1879年 マルコ・シウバクレイヴン・コテージ25,700人10位
ブライトン&ホーヴ・アルビオン1901年 ロベルト・デ・ゼルビブライトン・アンド・ホヴアメックス・スタジアム30,750人6位
ルートン・タウン1885年 ロブ・エドワーズルートンケニルワース・ロード10,356人※(3位)
ボーンマス1890年 アンドニ・イラオラボーンマスバイタリティ・スタジアム11,364人15位
ノッティンガム・フォレスト1865年 ヌーノ・エスピーリト・サントノッティンガムシティ・グラウンド30,576人16位
  • ※はEFLチャンピオンシップでの成績
  • チーム名・監督・本拠地名については現時点のもの(公式に変更が発表されているものを除く)

結果

歴代優勝クラブ

優勝チームに与えられるトロフィー(画像は2014-15シーズンに優勝したチェルシーのもの)
年度優勝2位3位クラブ数
1992-93マンチェスター・ユナイテッド(1)アストン・ヴィラノリッジ・シティ22
1993-94マンチェスター・ユナイテッド(2)ブラックバーン・ローヴァーズニューカッスル・ユナイテッド22
1994-95ブラックバーン・ローヴァーズ(1)マンチェスター・ユナイテッドノッティンガム・フォレスト22
1995-96マンチェスター・ユナイテッド(3)ニューカッスル・ユナイテッドリヴァプール20
1996-97マンチェスター・ユナイテッド(4)ニューカッスル・ユナイテッドアーセナル20
1997-98アーセナル(1)マンチェスター・ユナイテッドリヴァプール20
1998-99マンチェスター・ユナイテッド(5)アーセナルチェルシー20
1999-00マンチェスター・ユナイテッド(6)アーセナルリーズ・ユナイテッド20
2000-01マンチェスター・ユナイテッド(7)アーセナルリヴァプール20
2001-02アーセナル(2)リヴァプールマンチェスター・ユナイテッド20
2002-03マンチェスター・ユナイテッド(8)アーセナルニューカッスル・ユナイテッド20
2003-04アーセナル(3)チェルシーマンチェスター・ユナイテッド20
2004-05チェルシー(1)アーセナルマンチェスター・ユナイテッド20
2005-06チェルシー(2)マンチェスター・ユナイテッドリヴァプール20
2006-07マンチェスター・ユナイテッド(9)チェルシーリヴァプール20
2007-08マンチェスター・ユナイテッド(10)チェルシーアーセナル20
2008-09マンチェスター・ユナイテッド(11)リヴァプールチェルシー20
2009-10チェルシー(3)マンチェスター・ユナイテッドアーセナル20
2010-11マンチェスター・ユナイテッド(12)チェルシーマンチェスター・シティ20
2011-12マンチェスター・シティ(1)マンチェスター・ユナイテッドアーセナル20
2012-13マンチェスター・ユナイテッド(13)マンチェスター・シティチェルシー20
2013-14マンチェスター・シティ(2)リヴァプールチェルシー20
2014-15チェルシー(4)マンチェスター・シティアーセナル20
2015-16レスター・シティ(1)アーセナルトッテナム・ホットスパー20
2016-17チェルシー(5)トッテナム・ホットスパーマンチェスター・シティ20
2017-18マンチェスター・シティ(3)マンチェスター・ユナイテッドトッテナム・ホットスパー20
2018-19マンチェスター・シティ(4)リヴァプールチェルシー20
2019-20リヴァプール(1)マンチェスター・シティマンチェスター・ユナイテッド20
2020-21マンチェスター・シティ(5)マンチェスター・ユナイテッドリヴァプール20
2021-22マンチェスター・シティ(6)リヴァプールチェルシー20
2022-23マンチェスター・シティ(7)アーセナルマンチェスター・ユナイテッド20

クラブ別優勝回数

クラブ名優勝2位優勝年度2位年度
マンチェスター・ユナイテッド1371992-93, 1993-94, 1995-96, 1996-97, 1998-99, 1999-00, 2000-01, 2002-03, 2006-07, 2007-08, 2008-09, 2010-11, 2012-131994-95, 1997-98, 2005-06, 2009-10, 2011-12, 2017-18, 2020-21
マンチェスター・シティ732011-12, 2013-14, 2017-18, 2018-19, 2020-21, 2021-22, 2022-232012-13, 2014-15, 2019-20
チェルシー542004-05, 2005-06, 2009-10, 2014-15, 2016-172003-04, 2006-07, 2007-08, 2010-11
アーセナル371997-98, 2001-02, 2003-041998-99, 1999-00, 2000-01, 2002-03, 2004-05, 2015-16, 2022-23
リヴァプール152019-202001-02, 2008-09, 2013-14, 2018-19, 2021-22
ブラックバーン・ローヴァーズ111994-951993-94
レスター・シティ102015-16
-
ニューカッスル・ユナイテッド02
-
1995-96, 1996-97
アストン・ヴィラ01
-
1992-93
トッテナム・ホットスパー01
-
2016-17

歴代得点王

プレミアリーグ戦における最多得点者の一覧。シーズン途中でプレミアの他クラブへ移籍した場合も、リーグ戦での得点は加算される。

年度選手名当時所属クラブ得点国籍
1992–93テディ・シェリンガムノッティンガム・フォレスト
トッテナム・ホットスパー
22 イングランド
1993–94アンディ・コールニューカッスル・ユナイテッド34 イングランド
1994–95アラン・シアラーブラックバーン・ローヴァーズ34 イングランド
1995–96アラン・シアラーブラックバーン・ローヴァーズ31 イングランド
1996–97アラン・シアラーニューカッスル・ユナイテッド25 イングランド
1997–98クリス・サットンブラックバーン・ローヴァーズ18 イングランド
ディオン・ダブリンコヴェントリー・シティ イングランド
マイケル・オーウェンリヴァプール イングランド
1998–99ジミー・フロイド・ハッセルバインクリーズ・ユナイテッド18 オランダ
マイケル・オーウェンリヴァプール イングランド
ドワイト・ヨークマンチェスター・ユナイテッド トリニダード・トバゴ
1999–00ケヴィン・フィリップスサンダーランド30 イングランド
2000–01ジミー・フロイド・ハッセルバインクチェルシー23 オランダ
2001–02ティエリ・アンリアーセナル24 フランス
2002–03ルート・ファン・ニステルローイマンチェスター・ユナイテッド25 オランダ
2003–04ティエリ・アンリアーセナル30 フランス
2004–05ティエリ・アンリアーセナル25 フランス
2005–06ティエリ・アンリアーセナル27 フランス
2006–07ディディエ・ドログバチェルシー20 コートジボワール
2007–08クリスティアーノ・ロナウドマンチェスター・ユナイテッド31 ポルトガル
2008–09ニコラ・アネルカチェルシー19 フランス
2009–10ディディエ・ドログバチェルシー29 コートジボワール
2010–11カルロス・テベスマンチェスター・シティ20 アルゼンチン
ディミタール・ベルバトフマンチェスター・ユナイテッド  ブルガリア
2011–12ロビン・ファン・ペルシアーセナル30 オランダ
2012–13ロビン・ファン・ペルシマンチェスター・ユナイテッド26 オランダ
2013–14ルイス・スアレスリヴァプール31 ウルグアイ
2014–15セルヒオ・アグエロマンチェスター・シティ26 アルゼンチン
2015–16ハリー・ケイントッテナム・ホットスパー25 イングランド
2016–17ハリー・ケイントッテナム・ホットスパー29 イングランド
2017–18モハメド・サラーリヴァプール32  エジプト
2018–19モハメド・サラーリヴァプール22  エジプト
ピエール=エメリク・オーバメヤンアーセナル ガボン
サディオ・マネリヴァプール セネガル
2019-20ジェイミー・ヴァーディレスター・シティ23 イングランド
2020-21ハリー・ケイントッテナム・ホットスパー23 イングランド
2021-22モハメド・サラーリヴァプール23  エジプト
ソン・フンミントッテナム・ホットスパー 韓国
2022-23アーリング・ハーランドマンチェスター・シティ36  ノルウェー

観客動員数

2016-17シーズンの平均観客動員数は3万5,870人で、欧州リーグで2位であった[14]。一方、2016-17シーズンの集客率は94.95%で欧州リーグで1位であった[14]。2022-23シーズンの平均観客動員数は4万267人で、欧州リーグ2位となった。また、観客動員率は、98.7%で過去最高となった[15]

テレビ放映権

テレビ中継

プレミアリーグの国際映像は1997-98シーズン以降、IMGとの合弁によるPremier League Productionsがリーグ戦全試合の映像制作およびレビュー・ハイライト・情報番組の制作、および配信を行っている(現在のところ2012-13シーズンまでの契約を結んでいる[16])。

現地時間土曜日15時キックオフの試合はスタジアムへ足を運んでもらうため、イギリス国内でのテレビ中継が行われない[17]。ただし、イギリス以外の国では放送されているため、他国の衛星放送をイギリス国内で受信しているスポーツバーなどもあり、その是非が裁判で争われている。

英国での放送

2013-14シーズンから2015-16シーズンの放映権はBスカイB(2014年スカイに社名変更)とBTが獲得している[18]。スカイ(Sky Sports)は年間116試合放映で1シーズンあたり7.6億ユーロ、BT(TNT Sports旧BT Sport)は年間38試合放映で2.46億ユーロとなっている。この新契約の放映権料の総額は、2010-11シーズンから2012-13シーズンまでの契約よりおよそ70%増加している。この他にもBBCスポーツAmazon Prime Videoでも放映・配信されている[18]

米国での放送

アメリカ国内では2013-14シーズンから3シーズン、NBCスポーツが放映権を獲得。地上波のNBC、ケーブルのNBCSNを中心に放送。2015年8月には、更に6シーズン分放映権を延長。2021年11月にも6シーズン分の放映権をこれまでの2.5倍以上の契約料で締結している[18]。最終節はチャンピオンシップサンデーと題して、NBC、NBCSN、USASyfyCNBCMSNBC、Bravo、E!、Esquire、Oxygenの10チャンネルで同時生中継される。

インターネット配信ではNBC傘下の定額制動画配信サービスであるPeacockにて行われている[19][20]

日本での放送

  • 2007-08シーズンは8月11日に開幕したが、日本国内の放送権獲得の遅れにより開幕戦は全て放送されなかった。ただし開幕から3日後、8月13日になってJ SPORTSが2007-08シーズンから2009-10シーズンまでの3シーズンに渡り放送権を獲得したと発表。他にNHK BS1でも中継される(週に1~3試合)。その後、2010-11シーズン開幕直前に再びJ SPORTSが3シーズンに渡り放映権を獲得。毎節5試合以上中継されている。
  • 2014-15シーズンからも引き続きJ SPORTSでの放送が決定していた。2013-14シーズンのテレビ中継実績は毎節5試合以上放送。オンデマンド放送と合わせて全380試合を放送した[21]。また、NHK BS1も放送を継続していた。
  • 2013年10月17日から、2013-14シーズンのプレミアリーグ全試合がライブ配信にて視聴できるインターネットサービス「J SPORTS Football by LIVESPORT.TV[22]」が、「GOAL.COM」を運営するパフォーム・グループによる運営でスタートした。
  • 2016-17シーズンからは、ソフトバンクが運営するスポナビライブで全試合配信されていた。J SPORTSでの放送は生中継2試合、録画放送3試合となるが、権利の都合によりJ SPORTSオンデマンドでの配信は取りやめとなった[23]。シーズン開幕後に新たにフジテレビが放映権を獲得。フジテレビNEXTで毎節2試合、生中継を中心に放送された[24]
  • 2018年5月31日にスポナビライブがサービスを終了することとなり、2018-19シーズンからはパフォーム・グループが運営するDAZNで全試合配信されている。J SPORTSでの放送は引き続き生中継2試合、録画放送3試合となったが、J SPORTSは2019-20シーズン以降の放映権を獲得できなかったため、このシーズン限りでプレミアリーグの放送を終了した[25]
  • 2019-20シーズンから2021-22シーズンまでの3シーズンは、全試合DAZNでの独占配信となった[26]
  • 2022-23シーズンからの3年間は、日本と韓国において動画配信サービスを行っているSPOTV NOWが放映権を獲得したと2022年4月に発表した[27]。後に同業会社であるABEMAとの間でサブライセンス契約を締結した上で、一部の試合を同サービスに供給することを同年7月に発表した[28][29]

記録・統計

出場数ランキング

2024年1月28日現在
  水色は現役選手
順位選手名出場数初出場最終出場
1 ギャレス・バリー65319972018
2 ジェイムズ・ミルナー63320022024
3 ライアン・ギグス63219922014
4 フランク・ランパード60919952015
5 ディビッド・ジェームス57219922010
6 ガリー・スピード53519922008
7 エミール・ヘスキー51619942012
8 マーク・シュワルツァー51419962015
9 ジェイミー・キャラガー50819962013
10 フィリップ・ネヴィル50519942013

得点数ランキング

2024年1月28日現在
  水色は現役選手
順位選手名初出場最終出場得点数出場数得点率
1 アラン・シアラー199220062604410.59
2 ハリー・ケイン201220232133200.67
3 ウェイン・ルーニー200220182084910.42
4 アンディ・コール199220081874140.45
セルヒオ・アグエロ201120211842750.67
6 フランク・ランパード199520151776090.29
7 ティエリ・アンリ199920121752580.68
8 ロビー・ファウラー199320081633790.43
9 ジャーメイン・デフォー200120191624960.33
10 マイケル・オーウェン199620131503260.46

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク

公式
ニュース
ベトナムプレミアリーグニュースサイト
ライブ配信サイト
  • DAZN (日本語)