クリプトン

原子番号36の元素

クリプトン: krypton)は原子番号36の元素元素記号Kr貴ガス元素の一つ。

臭素クリプトンルビジウム
Ar

Kr

Xe
外見
無色気体、高電圧電界中で青白色を示す


クリプトンのスペクトル線
一般特性
名称, 記号, 番号クリプトン, Kr, 36
分類貴ガス
, 周期, ブロック18, 4, p
原子量83.798
電子配置[Ar] 3d10 4s2 4p6
電子殻2, 8, 18, 8(画像
物理特性
気体
密度(0 °C, 101.325 kPa)
3.749 g/L
融点115.79 K, -157.36 °C, -251.25 °F
沸点119.93 K, -153.22 °C, -244.12 °F
三重点115.775 K (−157 °C), 73.2 kPa
臨界点209.41 K, 5.50 MPa
融解熱1.64 kJ/mol
蒸発熱9.08 kJ/mol
熱容量(25 °C) 5 R/2 = 20.786 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa)1101001 k10 k100 k
温度 (K)5965748499120
原子特性
酸化数2
電気陰性度3.00(ポーリングの値)
イオン化エネルギー第1: 1350.8 kJ/mol
第2: 2350.4 kJ/mol
第3: 3565 kJ/mol
共有結合半径116±4 pm
ファンデルワールス半径202 pm
その他
結晶構造面心立方格子構造
磁性反磁性[1]
熱伝導率(300 K) 9.43×10-3 W/(m⋅K)
音の伝わる速さ(気体、23 °C)220、(液体)1120 m/s
CAS登録番号7439-90-9
主な同位体
詳細はクリプトンの同位体を参照
同位体NA半減期DMDE (MeV)DP
78Kr0.35%中性子42個で安定
79Krsyn35.04 hε-79Br
β+0.60479Br
γ0.26, 0.39, 0.60-
80Kr2.25%中性子44個で安定
81Krtrace2.29×105 yε-81Br
γ0.281-
82Kr11.6%中性子46個で安定
83Kr11.5%中性子47個で安定
84Kr57%中性子48個で安定
85Krsyn10.756 yβ-0.68785Rb
86Kr17.3%中性子50個で安定

名称

アルゴンに隠れてなかなか発見されなかったため、ギリシャ語で「隠れた」 (kryptos) から命名された。

性質

常温、常圧で無色、無臭の気体融点は-157.2 °C沸点は-152.9 °C (-153.4 °C)、比重は2.82 (-157 °C)。重い気体であるため、吸引すると声が低くなる。空気中には1.14 ppmの割合で含まれている。空気を液化、分留することにより得られる。不活性であるがフッ素とは酸化数が+2の不安定な化合物を作る。また、水やヒドロキノン包接化合物を作る。

用途

不活性ガスであるため、白熱電球に封入されフィラメントの昇華を防ぐために用いられる。クリプトンが封入された白熱電球はクリプトンランプと呼ばれる。

1960年から1983年までは長さの単位メートルの基準としてクリプトンのスペクトルが用いられた[2]。1 mは「クリプトン86原子の準位 2p10 と 5d5 の間の遷移に対応する光の真空中における波長の1,650,763.73倍に等しい長さ」と定義されていた。

クリプトンガスを吸いこんで空気中で発した声は、ヘリウムガスとは反対に、低くなる(メカニズムについては、ヘリウム#用途を参照)。ただし、純粋なクリプトンガスを吸い込むのは酸欠の危険を伴う。試すのであれば、しかるべき配合の、酸素との混合ガスを使わなければならない。

放電励起されると独特の青白いスペクトル光を放出する。写真のフラッシュに利用されたり、フィルターでさまざまな色の光に分けて使われたりもする。

歴史

1898年ウィリアム・ラムゼー (William Ramsay) とモーリス・トラバース (Morris W. Travers) によって、液体空気からキセノンとともに発見された[3]

クリプトンの化合物

同位体

出典

外部リンク